ceciliaのブログ

小さなつぶやき!

『流れ星』BSドラマ

久しぶりのブログである。生活の変化と追われている現実になかなか文章を書く余裕が生まれなかった。今も混沌の真っ只中ではあるが、なんか書いてみるのも良いなと思ったから始めている。

 

昨日ドラマで面白いのを観た。録画してあったBSの松坂慶子主演のドラマだ。複雑で私の文章力と限られた時間では到底状況を説明するのは至難の技である。なるべく簡潔に言えば味気なくなるし・・

 

トライしてみる。

私と同じ年齢の主人公は長年営んだ下宿屋を閉めようとしていた。父の代から引き継いだ今では珍しい下宿屋である。夫との仲は冷え切っていて会話も思いもすれ違いというのがひしひしと伝わってきて、どこにでもいる中年夫婦に見えた。外出した夫はその晩外出先で突然死してしまう。

 

彼女の元に魔王使いが現れて望みを3つ叶えると言う。彼女は18歳の頃に戻りたいと希望する。好きだった下宿人の教師になぜ突然自分の前から消えたか知りたかったからだ。父親が経営する下宿屋を手伝う18歳の女子学生の松坂恵子がいた。そこに68歳の同じ人物がお手伝いさんとして魔法使いの女の子と住み込みで働くことになる。もちろん誰も気づかない。

 

そこに今の亭主も登場する。教養もなくほとんどチンピラだった亭主。彼女は旅行中に消えた教師の真実をタイムスリップして初めて知ることとなる。

好青年で彼女と思い合っていたその先生は赤軍(いわゆる赤)で国に反撃するため時限爆弾を製作していた。爆弾作成はもちろん罪人である。大きな理想を振りかざしていても。チンピラに見つかり責められ、その日彼女がいない日に教師は逃げるように下宿屋を出て行った。チンピラに「彼女をよろしく。自分の分も大事にしてほしい」と言い残して。「彼女が本当に好きだった」と最後に言って出て行った。それを陰ながら聞いていた68歳の松坂は自身の部屋で号泣するのだった。

 

チンピラと結婚した松坂慶子は幸せではなかった。いつも1人で山に行ってしまう夫に自分への気持ちはないと思い心を閉ざしていった。50年夫婦であって、妻のそっけない態度に心がすれ違ったまま出て行った夫は、先程の最初の場面のように外出先で亡くなってしまう。

 

この物語の面白さはここからで、タイムスリップした世界で、若き夫は魔法使いの少女より「80個流れ星の浮き出る石を探せば願い事を叶える」と言われ約束したのだった。

 

夫は結婚後50年かけて何度も何度も山へ1人出かけ石をついに80個集めた。夫がその時、魔法使いにお願いしたことは「愛する妻を幸せにしてあげられなかった。私の願いは妻に4つの願い事を叶える魔法を与えてほしい」というものだった。ドラマ後半でそれがわかる。4つの願いとはその頃流行っていたちあきなおみの歌「4つのお願い」。若き夫と彼女との思い出の歌だったからだ。

 

教師のことを心から好きだった18歳の頃の松坂慶子のことを知っているチンピラだった夫は、結婚後素直になれなかったのかもしれない。松坂慶子はとっくに教師を諦めていたのだが、そのような原因で夫が自分に冷たかったとは知る由もなかった。

 

3つの願いは使い果たした彼女だったが、夫の願いにより、4つ目の願いを魔法使いに頼むことができた。彼女は夫と最期にそっけなく別れる日に戻してほしいと魔法使いに頼んだ。そして願った通りになった松坂は思い切り夫の小さな言動にも気を配り反応し、夫に今までの感謝の言葉を述べることができた。そして出ていく後ろ姿に「帰ってきてね」と心から夫に伝えられた。結局夫は亡くなってしまうのだが、すれ違った心の通わない夫婦としてではなく、感謝の気持ちを伝えることができ永遠の別れとなった、というのがドラマの結末だ。

夫も本当は彼女を愛していたのに50年間素直になれず、ひたすら石を探し続けたという物語。夫役は船越英一郎だ。

 

皮肉なことに魔法使いなどいない現実に生きている私たちは、魔法がないからこそいっときいっときを素直に正直に気持ちを伝えて生きなくてはいけないのだとこの物語は伝えているのではないかと思った。

 

少しとぼけておっとりしている松坂慶子の演技がなんか面白くもあり、リアルでもあった。

 

生きるってことは、今を大切にしなくてはいけないのだと改めて気づかされたドラマであった。

 

また、落ち着いたら別のテーマでしっかりとブログを書きたいと思っている。