ceciliaのブログ

小さなつぶやき!

神様のカルテ

テレビでドラマスペシャル『神様のカルテ』(テレビ東京)を観た。

 

福士蒼汰主演の長野県松本市の救急病院が舞台の物語だ。

 

松本市は私が子供の頃、母と毎夏休み行った街なので懐かしく観た。松本城があり、美しい街であったと記憶している。

夏目漱石が子供の頃から好きな内科医師「一止(いっと)」。話し方も考え方も変わった医師を福士蒼汰が好演していた。語り口調も夏目漱石の「坊ちゃん」っぽい。

 

物語の中で主人公がこう呟く。

『命は人の及ばぬところで既に寿命が決まっている。もし、その生命が土に埋もれているならば掘り出し風を送り光を当ててより良い最期を作り出す。医者とはそういう仕事なのでは・・』

胆嚢癌の72歳の女性(風吹ジュン)があと余命数日の時、絶対安静の患者を屋上に連れて行き、彼女の育った信州の山並みを見せ、絶食状態の患者に最後に彼女が希望した文明堂のカステラを差し出す。看護師たちの希望もあり、背中を押され一止医師は風吹ジュンの最後の希望を叶えてあげようと企んだ。

患者は2日後に急変。しかし現代医療で可能な延命措置を行わないことを一止医師は選んだ。もちろん生前患者が望んでいたことを知っていたからだ。

夫を亡くして35年、身寄りのない彼女が最後に先生に手紙を残していた。彼女は死んだら夫に32年前プレゼントしてもらった毛糸の赤い帽子を被せてほしいと医師に頼んだ。その赤い帽子の中に手紙はあった。

 

「病とは孤独である。病の一番辛いことは孤独を突きつけられることではないか。先生は最後に私に楽しい時間を与えてくれて、最高の治療をしてくれた。先生が今後壁にぶち当たることがあっても、最高の医師であることを保証するから支えにしてほしい。」

このような内容だった。一止医師は手紙を読んで嗚咽した。

「一止」という名前は合わさると正しいの正の字になる。人生に迷ったら物事の始めに戻って、最初の一歩から考えることの大切さを表した名前だ。父親がこだわって付けた名前だが、72歳の患者(風吹ジュン)も名前の奥深さに気づいたのだった。

 

延命措置をして、現代の医学では5日くらいは心臓を騙して動かすことはできる。しかし、あえてそうしない道を選んだ医者の決断は勇気がいったのだろう。愛する夫の元に行かせてあげたかった。しかしこれで良かったのだろうかと自問自答していた。

 

一止先生は大学病院(信州大学医学部の病院)に移れるチャンスを捨て、現在の勤務する病院を選んだ。365日救急患者を受け入れる鬼忙しい、老人や末期がん患者と向き合う医師としては出世街道ではない病院。医療の底辺ゆえの深さもあるが第一線とはいえないその病院で、医師を続けるという決断をしたところで番組は終わった。

 

来週は他のテーマでドラマは続く。医療の根本から人生や病について考えさせられる番組であった。また観たいと思う。