ceciliaのブログ

小さなつぶやき!

ヤキトリ

NHK 土曜ドラマ「引きこもり先生」の3回目を観た。

11年間引きこもっていた中年を佐藤二朗が演じている。娘が小さい頃、社会に絶望して以来、家族にも壁を作り、父を追う娘を冷たく手放し、以降ひきこもりとなってしまった。その娘を突き放した自分が心の傷となっており、今の自分では娘に会う資格は無いと思いながら暮らしている。

高校生となった娘に今も会えずに、かろうじてあまり美味しいとは言えない焼き鳥を出す小さな飲み屋を営んでいた。

ひょんなことで店に客として来た高橋克典演じる中学校の校長に声をかけられ、不登校だった生徒が集まる特別クラスの先生に抜擢される。そのクラスの生徒たちは心に傷を負いながら、かろうじて自分の学級ではない特別クラスにやっと来ている子供達だ。

引きこもりだったため、話もおぼつかなく、言葉も出てこなく、社会にやっと出ているという男性を佐藤二朗が巧みに演じている。

悲惨ないじめの場面がいくつも物語にはあり、いじめていた頭(かしら)が今度はいじめられる側になるという凄まじい現実がドラマの骨子となって表現される。

ある日、あまりのいじめのひどさに心痛めた「ヤキトリ」(焼き鳥屋を営んでいるから子供らにつけられたあだ名)は泣きながら「学校なんて来なくたっていいんだ」と生徒に思わす言ってしまう。

そのことがSNSで取り上げられ、その中学では数名不登校の生徒が増えてしまった。教育委員会に呼び出され中学の現実を聞かれたヤキトリは「◯◯中学にはいじめは無い」と嘘の証言をしてしまう。

なぜ嘘を言ったのかというと、前日校長に呼び出され「子供の将来のためにいじめの事実は差し障りとなるから(中卒と大卒の生涯賃金を示され)、いじめは無かったと言うよう・・・」示唆されたからだった。校長は教育委員長の座を狙っている野心家であった。

教育委員会の面談で嘘の証言をしたヤキトリは発狂してしまう。それ以来長い引きこもりの始まりとなるのではないかと自身も絶望し、自分の部屋の中で、大声で叫び打ちひしがれ苦しむ毎日が始まってしまった。

嘘を証言した日に娘と11年ぶりの再会となるのだが、嘘を言った自分の負い目から、娘に父親らしい言葉もかけられず「嘘を言った。ダメな自分だ」と繰り返すだけで、悲しくなった娘は走り去っていってしまう。

学校に行けなくなったヤキトリ先生。何日か経ってようやく、学校側の隠蔽体質を改めるべきだと気づいた特別クラスで一緒の先生(若い未熟だが心ある女性)が「学校の都合で嘘を言わされた」と生徒にヤキトリの学校を休んでいる事情を説明した。

特別クラスの生徒たちがヤキトリの自宅にみんなで行き、窓の外から大きな声で叫ぶ。「来なくて良いからね。苦しい時は学校なんか来なくて良いから」「寂しいよー」「無理すんなよー」といつまでも生徒らの叫びが続いた。窓から顔を出した先生は明らかにやつれ、打ちひしがれていた。

苦悩の末、学校に向かったヤキトリ。校長が「無理しなくて良いですよ」と玄関で言うと、「無理してします。もう逃げません」と言うヤキトリだった。

きっといじめに立ち向かい、自身の内面の弱さとも向き合い、結果娘との対面が幸せなものであったら良いなという、次回の展開を予測させ3回目は終わった。