ceciliaのブログ

小さなつぶやき!

映画「幸せなひとりぼっち」

『幸せのひとりだち』の姉妹映画のような位置づけの2015年スウェーデン映画『幸せなひとりぼっち』を観ました。もちろん前作に感動したため、同じ作家の作品を映画化した本作に興味を持ったからと言えます。

 

2作を比べると初老の男女の人生の選択という共通点はありますが、趣はおおいに異なります。『幸せのひとりだち』は第二の人生の選択に新たな希望が見えますが『幸せなひとりぼっち』の結末は、新たな希望とは程遠い(と私は思いました)「人生の終い方」をあらわした作品との感想を持ちました。

 

『幸せのひとりぼっち』は愛する妻の後を追って死を選ぶ59歳の主人公とその周囲の人々の織りなす日常を映画の題材としており、心を閉ざした初老の人が徐々に周囲に心を開いていく、または開くような宿命に置かれるという意味では同じ作家の表現する課題(テーマ)として共通しているのではないかと思いました。

 

『幸せのひとりぼっち』の主人公は最後には病気で眠るように亡くなったのですが、あれほど自ら死を選んでいた主人公の最期としては皮肉な結末なのではと私には映りました。病死という結末を知らずに眠るように亡くなった主人公の人生と、自ら選択して幕を閉じる人生という二通りの選択肢が私の心に重くのしかかりました。

 

夫婦愛の映画として観ることもできますが、病死した妻が夫に自分の後を追って死を選ぶことを本当に望んでいたのかを知りたいと思いました。また、主人公には飼い猫もいて、周囲の人々とお互い心を開く間柄になり、その状況になったのにやはり死を選択するのかを知りたいと思いました。

 

この映画はハッピー・エンドなのか悲しい結末なのか、または波乱に富んだ一男性の人生模様を描いた映画なのか、夫婦愛を描いた映画なのか、わからないまま映画は幕を閉じてしまったという印象を持ちました。

 

2作とも「年を重ねることの哀愁」は十分感じられましたが、やはりその中で『幸せのひとりだち』のような明るい未来を目指す人になれたら良いなと私は思いました。