映画『STILL LIFE』・・・おみおくりの作法
イギリス映画『STILL LIFE』を観た。still life とは静物画という意味らしい。
あまり日本では知られていない映画のようであり、ググってもなかなか見つけ出せなかった!
地味でまじめそうな中年男性が多く映し出され、観始めは言葉とか会話とか、そして人とのかかわりや笑顔の少ない映画だな、と思った。
観ていて最後に分かったのだが、それらは後半を盛り上げるための布石であり、
観客は前半は作者の掌の上に置かれていたのでは、と観終わって思った。
100人の人には100通りの人生があり、それらの人生は重んじられ尊ばれるべきであるとこの映画は強く訴えているように思った。
ラストシーンでその重い大切なテーマが観客を魅了したのではないかと思った。
死とは何かと考えたが、生きている人間には永遠のテーマできっと結論を見い出せないまま、多くの人が一生を終えるのであろうと思う。
ただ一つ、私が常日頃から思っているのは、人の死はもちろん悲しい。近しい人の死は尚更だ。
それは見送る我らの心にすっぽり穴が開き、淋しくなった以上に、その存在がいなくなることが耐えられなく、やはり根本的に理解できないからでもあると思う。
しかし、亡くなった人の人生が終わってしまったことも(その人の立場に置き換え)同時に身に染みて悲しく惜しむのも事実だと思う。しかし、亡くなった人の人生が亡くなる寸前まで、いえ死後も永遠にきっと満足して充実していたものであり、その点は喝采をしたいと思う。
死に至る道は厳しいのか、あっという間か、または本当に寝たまま目覚めない死もある。どのような最期であっても「生きた!」と言える(思える)ように全力で今を生きていくのが生命を授かったものに与えられる使命なのであろう。
この映画を観て、そのようなことを考える機会を与えてもらえたことに感謝している。